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あの馬鹿
「あっれまぁ、コケたんか?」
暇だしぶらぶら散歩でもしてこようかと廊下に出た途端、坂本の馬鹿でっかい声が聞こえてきた。 おんしゃ案外鈍臭いからの~とかなんとか。 あいかわらず馬鹿でかくて陽気な声はヅラの部屋から聞こえるようだ。
「鈍臭いとか言うな」
そういえば今日のヅラが正座の度に顔をしかめて膝頭を撫でていたのを思い出す。 大方擦り剥きでもしたのだろうが、一体なにをどうやってそんなに派手にこけたのか。 ここ一ヶ月も戦闘らしい戦闘はしていないし(戦いの最中すっ転ぶような奴でもないのだが)。
俺が端の障子に手をかけようとした瞬間
「大体これは俺じゃなくて高杉が悪い」
俺???
思いがけない言葉に動作が止まる。
俺が何をしたって?
そりゃあ、冗談半分でヅラの足を引っ掛けた経験が無いとは言わないし、それであいつが田んぼに落ちて結構な惨事になったこともある。 が、ここんとこそんな可愛らしい事なぞした覚えは無い。 やった事と言えば・・・ヤった事くらい?(自爆)
「なんじゃ、晋坊にこかされたんか?」
「なんでそうなるんだ」
それ以外で膝なんかすりむくのかよ。
「じゃあ、なんじゃあゆうんじゃ」
「昨晩は高杉がやけに積極的だったんだ」
え・・・?
ええ・・・!?
ちょっと待てよお前、なにいきなりそんな白昼堂々深夜トークかましてんだよ!
しかも俺をネタに!
それとお前の膝の怪我と・・・
「布団を敷く間も与えてくれなくてな」
・・・うわ
「仕方なく畳の上で」
・・・・・・・うわあ
「ちょ! え? 高杉!? なんなんだ一体!!」
「カマトトぶってんじゃねェよいい歳の野郎が。夜這いに決まってんだろ」
「ななな何考えてるんだお前は!」
「そりゃあセ・・」
「わーわー!!そういう直接的な言葉は・・・」
「黙れよ少し。心配しなくても突っ込むのはてめェだ」
「そうゆうはしたない事を言うんじゃない!」
「あーもう煩い煩い!!」
「わかった、わかったからとりあえず布団を」
「んなもんなくたって死にゃあしねぇよ」
「ちょ! こら!! ちょ、馬鹿」
「なんだかんだで乗り気じゃねぇかお前だって」
「待て待て待て! ストップ! ストップ晋助!!」
「んだよ」
「付き合ってやるから、上に乗るな」
「何それ、プライド?」
「そうじゃない。が、・・・とにかくお前は下だ」
「なんで?」
「なんでも!」
「そんなんで納得するかよ」
「じゃあやめるか?」
「・・・・・・」
「しないのか?」
「・・・・・・・・」
「晋助?」
「・・・・・・・・・・する」
うっわぁ、凄ぇリアルに思い出した・・・。うわぁ・・・。
そうか畳でしたから・・・。 俺も肘を少し擦ってた気がする。 そうかこれは昨日の・・・・うわあ・・・・。
「はぁ、お盛んじゃの~」
坂本の感心したような声で我に帰る。そうだよ!よりにもよってなんでこいつに言うか!! 顔から火が出そうだ・・・。
むしろコケたことにしとけよそこは。転ぶより恥ずかしいだろ、ヤってて擦ったとか(しかも野郎同士で)。恥の感覚がおかしいんだよお前は。
「大変だったんだぞ昨日はもう、あいつときたらな・・・」
うわぁ! なんでその馬鹿相手にさらに俺のこと語ろうとしてんだよあの馬鹿!! まじでアホか! アホだアホだと思ってたけど本物のアホなんだなあいつは!!
俺は慌てて障子に手をかけたのだが
「んん!!!」
いきなり強い力で口を押さえられ、体を後ろに引っ張られる。
「んー!!んー!!!」
俺にこんなことが出来て尚且つ実行するような奴は一人しか居ない。横目で見た先には案の定・・・
「面白そうな話じゃん。俺にもちゃんと聞かせてよ」
忌々しい綿菓子頭。
「んー!!んんーー!!!」
「何? お前が直接再現してくれんの?」
するかボケ!!!
結局延々とヅラの口から語られる己の醜態を聞かされながら銀時に散々コケにされ、いちいちあっけにとられて「あれまぁ・・・」とか言う坂本の声が居た堪れなくて、本当に泣きそうだった。
それもこれもあの馬鹿の口が軽い所為で・・・。
旧拍手お礼(一部修正
出来心でギャグなんて書いて見ましたが失敗した感が否めません